「選ぶ」ではなく「育てる」しかない現実
従業員が数百人規模の企業では、管理職の育成において大企業とは全く異なる課題に直面します。
それは、「選ぶ」のではなく「育てる」しかないという現実です。
以前のコラムでは、マネジメント能力の健康診断という発想について紹介しました。
今回は、実際の事例をもとに、どのようにポラリスを使って個別育成計画を立て、実行していくのかについてご紹介していきます。
(※お客様の情報保護のため一部内容を変更してお伝えします
マネージャー「疑似体験」で
組織長としてのマネジメント能力を診断します

ポラリスは、マネジメントの疑似体験を通じてマネージャーの資質・能力を多面的に診断するオンラインサービス。貴社の人事制度・戦略に合わせ、専門コンサルタントが昇進・昇格制度の設計まで一貫してサポートします。客観的データに基づく診断で、「誰を次世代のリーダーに選ぶべきか」が見える化します。
事例:全国展開する大手サービス業の管理職育成
ある全国展開している大手サービス業の事例です。
この会社では、エリアマネージャーという役職の強化が課題となっていました。
エリアマネージャーは複数の拠点を統括し、数字責任を負う重要なポジションです。
一方、各拠点の責任者は顧客満足度や従業員満足度に責任を持つ体制となっています。
会社の成長の要であるエリアマネージャーを強化するため、各人のこれまでの経歴や特徴と今後の期待役割を踏まえて、その人それぞれにあった能力開発計画を策定。
画一的な研修では意味がない
通常の育成計画では、「研修」という名の画一的なプログラムを受けさせて終わり、というケースが多いです。もちろんそれも効果はあると思いますが、その効果は人によって差があります。
研修について、私はよく風邪をひいた際の薬の例を出すことが多いです。
皆さんは風邪をひかれた際、どうされますか?そこまでひどくない時は、市販の風邪薬を飲まれる方が多いと思います。ドラックストアで購入できる総合感冒薬は、凡そどのような症状の人にも効くように作られています。誰にでも効くように処方されているけれど、のどが痛い私にドンピシャで効いてくれるわけではない。
この事象が研修に似ていると思います。
研修は十数名の人々を集め、何を持ち帰ってもらうかを考えて設計します。できるだけ多くのことを持ち帰ってもらおうと設計するものの、やはり総合感冒薬的になってしまいます。
一人ひとりにマッチした啓発をしようと思うと、一人ひとりの現状を見極め、処方箋をつくることが求められます。
それがまさに今回の事例です。
ご案内する事例に戻ります。
今回の事例では、対象となる5名のエリアマネージャーは、それぞれ異なる特性を持っていました。
- 非常に優秀で次の階層に行ってほしい人
- 現状維持で十分な人
- もう少し成長してもらわないと困る人
同じ役職でも一人ひとりの状況は全く違っていたのです。だからこそ、個別の育成計画が必要となりました。
マネジメント能力の健康診断から育成計画へ
この研修は大きく3つのフェーズで構成されています。
星野さんの場合、以下のような特徴が見られました。
フェーズ0:設計
まず最初に、その会社に合わせた能力要件の設計を行います。
ポラリスでは15の能力要件(思考・対人・器)を基本としていますが、各社の状況に合わせてカスタマイズします。
例えば、自社の評価基準とポラリスの能力要件を紐づけたり、必要な要件を追加したり、不要な要件を削除したりします。
例)K社の場合(※実際の会社のものからは変更しています)

「うちの会社では顧客志向が大切だから追加してほしい」「スピード感という要素も入れたい」といった要望に応じて、その役職に本当に必要な能力を話し合いながら決めていきます。
フェーズ1:人材の評価の実施
次に、ポラリスによるマネジメント診断を実施します。
ポラリスは、オンライン上でマネジメントを疑似体験してもらい、その人の持ち味を見つけるツールです。
前任者が残した大量のメールを受け取り、どう優先順位をつけ、どう判断し、どう周囲を巻き込むための行動をするか。そこから各能力を診断します。

この会社では、診断後には、受検者同士でのディスカッションの場を設けました。
この時は午前にポラリスを受検していただき、午後にグループディスカッションをするといったスケジュールで、間髪入れずに行いました。
ディスカッションでは問題解決策を受検者同士で共に考えたり、学びの言語化をしていきます。
このディスカッションが非常に重要になってきます。
例えば、ポラリスの課題として「地元スーパーの店舗方針を描く」というものであったとします。
※業界特有の内容に縛られないよう、お客様の業界とはあえて違うもの、かつイメージしやすいものを提示します
参加者それぞれが考えた方針を共有し、「本当に最高のスーパーの状態とはどういうものか」を話し合います。
具体的には、「高齢のお客様が増えているのに、若い家族向けの品揃えのままでいいのか」「個包装の少量商品を増やすべきか」といった議論が生まれます。
正解のない中で、自分の考えを述べ、他者の視点を知ることで、マネジメントの幅が広がっていくのです。
マネージャー「疑似体験」で
組織長としてのマネジメント能力を診断します

ポラリスは、マネジメントの疑似体験を通じてマネージャーの資質・能力を多面的に診断するオンラインサービス。貴社の人事制度・戦略に合わせ、専門コンサルタントが昇進・昇格制度の設計まで一貫してサポートします。客観的データに基づく診断で、「誰を次世代のリーダーに選ぶべきか」が見える化します。
フェーズ2:育成計画策定
アセスメント結果をもとに、一人ひとりの育成計画を策定します。このフェーズでは以下の3つのステップを踏みます。
1. 各候補者との面談
ポラリスの結果を伝えられただけでは、「コレステロールが高い」と言われても「どうすればいいの?」と困るのと同じです。
そこで、一人ひとりと面談を行い、結果の意味を解説します。
「あなたの強みは課題設定力です。この強みをより活かしていくためには、未来構想力を高めるとよいでしょう」といった具体的なフィードバックを行います。
同時に、キャリア展望についてもヒアリングします。会社で成長したい人もいれば、現状維持を望む人、転職を考えている人もいるでしょう。
その本音を聞くことで、より現実的な育成計画が立てられます。
2. 経営・人事への報告
アセスメント結果とキャリア展望をもとに、経営層や人事部門に報告します。
「Aさんは能力が高いのですが、次の仕事のイメージが湧いていないため昇格意欲が低いようです」
「Bさんは現場をまとめる力は抜群ですが、未来を描く経験が少ないようです」といった具体的な報告を行い、会社全体での育成方針を検討します。
3. 能力開発計画の策定
一人ひとりの強みと成長ポイントに合わせた能力開発計画を策定します。
例えば、未来構想力を高めたい人には:
- 人事制度を作るプロジェクトにアサインする
- 中期計画を考えるチームを任せる
- 新規事業の企画に参加させる
といった「未来を考える場」を意図的に経験させることを計画します。
また、上司との面談も設定し、日常業務の中でどのような経験を積ませるかを具体的に設計します。例えば:
- 未来を描く機会を意図的に与える
- 多様な視点で未来を考える場を作る
- 忙しすぎる状態を作らず、余白を与える
といった関わり方を上司と共有します。
フェーズ3:実行とフォローアップ
計画を絵に描いた餅で終わらせないために、継続的なフォローアップが重要です。
例えば、以下のようなフォローアップを実施します。
ー四半期ごとの進捗面談:上司と本人とコンサルタントで面談を行い、計画の進捗を確認します。「やってきたこと」「まだできていないこと」を振り返り、必要に応じて計画を修正します。
ー半年ごとの育成計画会議:上司、部門責任者、人事、コンサルタントで会議を行い、会社全体で俯瞰した時の成長度合いを確認します。当初の期待役割に近づいているか、違う施策が必要かを検討します。
個別育成計画のメリット
このような個別育成計画には、以下のようなメリットがあります:
一人ひとりの強みを最大化できる
- 画一的な研修と違い、その人の持ち味を活かす方向で育成できます。
年齢や経験に応じた育成ができる
- 20代、30代は新しい経験を通じて能力を広げ、40代、50代はエッジの尖った強みで勝負するなど、年齢に応じた育成が可能です。
組織全体としての成果を最大化できる
- すべての能力を均等に伸ばす必要はなく、その人の持ち味を活かし、弱みは他の人で補うという布陣を考えることで、組織全体の成果を最大化できます。
ポラリスの受検の後が本番
ポラリスを受検して、一人ひとりの持ち味をお知らせしておしまい、ということを私たちはしません。
今回の企業さんの場合には、マネジメント候補者が少なかったため、「育てていく」というところに特に重きをおいたプランニングをさせていただきました。
一人ひとりに合った育成計画を立て、継続的にフォローアップすることで、初めて成果につながります。
「管理職候補が限られているので、一人ひとりを確実に育て、組織全体として成果を出していくための布陣を作っていきたい。」
そう考えている中小企業にとって、有効な活用方法だと考え、具体的にご紹介いたしました。
もし「うちの管理職候補をどう育てたらいいか分からない」「一人ひとりの強みと課題を明確にしたい」とお考えでしたら、ぜひ一度ご相談ください。
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