新任マネージャーに安心感と自信を与え、30%の離職率を0にした奇跡的な取り組み
今回は、実際の事例をもとに、新任マネージャーに安心感と自信を与え、30%の離職率を0にした奇跡的な取り組みについてご紹介します。
組織の要であるマネージャーをどう作るかは、多くの企業において共通する課題ではないでしょうか。
昇格時には高い期待と意欲が見られる一方で、その責任に耐え切れず異動や退職に至るケースが少なくないという声を、人事部門や経営層の方々から伺うことがよくあります。
本稿では、新任マネージャーの離職率を大幅に改善した実際の事例についてご紹介します。
マネージャー「疑似体験」で
組織長としてのマネジメント能力を診断します

ポラリスは、マネジメントの疑似体験を通じてマネージャーの資質・能力を多面的に診断するオンラインサービス。貴社の人事制度・戦略に合わせ、専門コンサルタントが昇進・昇格制度の設計まで一貫してサポートします。客観的データに基づく診断で、「誰を次世代のリーダーに選ぶべきか」が見える化します。
年間100名のマネージャーを輩出する企業が抱えていた課題
本事例の企業は、全国に拠点を展開する大手サービス業です。
従業員数は約1万人弱、対象となる事業部では毎年およそ100名がマネージャーへ昇格していました。
一方で、新任マネージャーの約3分の1にあたる30名程度が、昇格後1年以内に退職、あるいは異動を希望している状況が続いていました。
事業拡大を進める同社にとって、育成したマネージャー人材の流出は、組織の持続性に大きな影響を及ぼす重要な経営課題となっていました。
こうした背景を受け、新任マネージャーに対するサポート体制を見直し、新任マネジメント研修を導入することにしました。
新任マネージャーが直面していた課題
お客様と共に新たに設計した育成プログラムのねらいは、「自分の仕事」から「チームとして成果を生み出す仕事」へと視点を転換し、周囲を活性化できるマネージャーを育成すること。
新任マネジメント研修の初回では、多くの新任マネージャーが、
「マネジメントとは何をする役割なのか」
を十分に整理できていない様子が見受けられました。
ある受講者から次のような言葉も聞かれました。
「マネジメントは自己犠牲だと思っていた・・・」
部下よりも自分が多く働かなければならない、部下を支えるためには自分がすべてを引き受けるべきだ、といった認識が、マネージャー自身の負担感を高めていたと考えられます。
このような状態が、疲弊や孤立を招き、結果として早期離職につながっていたと推察します。
半年間にわたる継続型育成プログラム
本施策の特徴は、単発の研修ではなく、約6か月間にわたる継続的な育成プログラムとして設計したことです。
1.集合研修(1泊2日)
キックオフは1泊2日の集合研修を実施。
マネージャーとして期待される役割や行動について整理し、以下の観点から理解を深めました。
- 組織および上司から求められる役割
- チームへの関わり方の基本
- マネージャーとしての時間の使い方
- 業務を任せるという行為の意味
2.職場実践(テーマ設定型)
研修後は職場実践期間に入りますが、ここで重要なのは「やってください」と言うだけでは実践されないという点です。
そこで、月ごとのテーマ設定をして職場で実践してもらうという工夫を行いました。
職場実践をいくつかのテーマに分け、月ごとに焦点を当てる課題を変えていき、課題に関するチェックリストをつくるのです。
例えば、部下との信頼関係を築くことに焦点を当てたとき。以下のようなチェックリストを用意しました。
- あなたが苦手なこと、助けてほしいと思っていることを部下に伝えたことがありますか?
- あなた自身の好きなこと、得意なことを部下に伝えていますか?
これらの項目に対して、「意識している」「意識したことはあるが行動はそうでもない」「考えたこともなかった」などの選択肢から自己評価します。
そして、「なりたいマネージャーになるために、何が必要か?」という問いに答え、さらに、誰に(どこに)対して何をする、というところまで具体的な行動計画を立てます。
この施策は、マネジメントという大きすぎるテーマを職場実践してもらうのではなく、細分化したテーマへと小さくすることで、足元の目標設定も小さく、手触り感のあるものにしてもらう。
そして、それを確実に職場で実践することで毎月手ごたえを感じてもらう、という意図で企画しています。
3.中間振り返り
中間ごろのタイミングで2時間程度のオンライン振り返りを実施。「やってみてどう?」と互いの経験を共有し、悩みを話し合う場を設けました。
皆が同じ状況ではない、仲間から完璧な解決策が得られるわけではないものの、多くの参加者が一定の安心感を持ってセッションを終えていました。
4.フォローアップ研修
再び集合し、半年間の実践を振り返るとともに、以下の内容を行いました。
- 自分がなしえたいことと、職場での提供価値を結びつける
- 上司を活用する方法を伝える
- 学びを言語化し、自分なりの「マネジメントとは」を宣言する
マネージャー「疑似体験」で
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奇跡の退職者なしを“実現”
このプログラムの結果、約3分の1だった新任マネージャーの退職率は、なんとゼロになったのです。
研修期間中に実施した職場実践に関するアンケートでは、約80%が「意図的に自身の行動や言動に何らかの変化があった」と答えています。
具体的には
- 方向性を見出すことができた
- 部下の様子を気にかけるようになった
- 部下のことを全然把握できていないことがわかり、意識するようになった
- 相手によって話し方を工夫するようになった
などの回答を得ることができました。
一方、変化がなかったと答えた人は「時間が作れなかった」「日々の業務に追われて意識を忘れてしまった」といった理由を挙げていました。

孤独感の解消が成功の鍵だった
研修でマネジメントへの考え方を変え、自分だけで抱え込まないための具体的な行動案へと落とし、実行することで負担が減ったというのはあるでしょう。
しかし、ここでひとつ疑問として湧いてくるのは、前のパートであげたアンケートの結果の20パーセントの人は行動に移せていなかったにも関わらず、なぜ退職につながらなかったのか?ということです。
ヒアリングでその理由がわかりました。
それは、彼らの「孤独感」を解消したことにあります。
研修参加者からは口々に「同じ立場の人たちと話せて良かった」という声が聞かれました。
「苦しんでいるのは私だけじゃなかった」
「憤っているのは私だけじゃなかった」
「悩んでいるのは私だけじゃなかった」
自分の悩みにピッタリの正解をくれるわけではなくても、「みんな同じなんだ、私だけじゃないんだ」と思うことに安心感を得られたのです。
それはまさに、「私だけじゃないんだ」という安心感に他なりません。
初めてマネジメントを任されたときの不安感、孤独感、私も強く覚えています。
これまでプレーヤーとしてやってきたことが軽減されるわけではない中で、責任とやるべきことが一気に増える。
任されることも増え、自身の責任において決断する場面も増える。
だけれど。その決断が正しいかどうか不安…という状況。
そんな状況の新任時だからこそ、同じ立場の人と定期的に集い、話を聞いてもらったり、話を聴いたりすることが安心感を生み、その安心感が日々のマネジメントをする際の勇気に変わっていたのではと推察しています。
同じ立場の人同士で気持ちをわかりあうことの大切さ
本事例が示しているのは、新任マネージャー支援において、スキルや知識の提供だけでは十分ではないという点です。
新任マネージャーにマネジメントの仕事は「自己犠牲」ではないということを知ってもらうことが大事だと強く感じました。
そして、自分の理想とする組織の姿を描き、それを実現するために周囲をいかに巻き込んでいくことがマネジメントの醍醐味だと実感してもらうことも同時に重要です。
さらに、一番重要なことは新任マネージャーを支援する際には、スキルや知識の伝達だけでなく、「孤独」「不安」という彼らの気持ちに向き合い、応援することが一番大事で、一番効果があるということです。
同じ立場の仲間との対話の機会を継続的に設けることで、マネージャーは安心感を得て、自信を持って行動できるようになります。
こうした取り組みは、単に離職に歯止めをかけるにとどまらず、組織全体の健全なマネジメント基盤の構築につながっていくものと考えられます。
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