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「管理職になりたくない」問題にどう向き合うかー世代のせいにする前に考えたいこと

「誰を次の管理職にしようか…」

そんな問題に頭を悩ませている人事の方も多いのではないでしょうか?

今回は、最近私が一番多く相談を受けているテーマについてお話ししていきたいと思います。

それは「管理職になりたくない人 問題」です。

肌感覚ですが、管理職になりたくない人の方が圧倒的に多い…と感じています。

人事の方とお話しすると、「最近の若手は働き方の価値観が違うから」という話になることが多いのですが、個人的にはその話の前に、まず確認しておきたいことがあると思っています。

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「最近の若手」のせいにしていませんか?

よく聞くのは、働き方の多様化の話です。

今の20代、30代は、失われた30年と言われる時代に生まれ育ってきた世代。

物がいっぱいある時代で、かつそんなにお金を使わない世代です。

昭和の時代は、お給料が上がって、車を買いたい、冷蔵庫を買いたい、テレビを買いたいという目に見える目標があって、それを買うと生活が豊かになるという実感があったと思います。

でも今は、生まれた時からある。

車はシェアすればいいし、Netflixを家で見て、ゲームをしていれば楽しいことはいっぱいある。だからそもそもお金がそんなにかからない。

こういう話はよく聞きます。
この「受け手側」の話に手を入れる前に、確認すべきことがある、と考えています。

それは、制度面についてです。

これに着手せずに「あの人たちは…」「最近の若手は…」と言ってしまうのは、ちょっと違うのかもなと感じています。

まず確認すべきは制度の話

制度の話で一番最初に確認したいのは、昇格すると結果的に給料が下がるケースがないかということです。

例えば、一般社員の時は月収30万円で、残業代を入れて35万円もらっていた。管理職になったら役割が大きくなるから、基本給が40万円、50万円になる—普通に考えたらそう思うでしょう。

でも実態はどうかというと、残業代がもらえなくなって、前の給料より下回るというケースもありました。

「頑張れ、俺らもそうだったから」という時代もありました。

「さすがにそれはない」という流れで、制度上ちゃんと整ってきている会社も増えていますが、そうではない会社もまだあります。

もしこれを読んでいただいているあなたの会社が上記のような逆転現象が起こっているとしたら、まずはこの制度的欠陥をなんとしてでも解消することを最初に取り組んでみてください。

昇格するとは、期待役割が拡大しているということです。お給料もその期待分、(できれば期待をたくさんこめて)引き上げるべきでしょう。

その上、管理職になりたくない人が多いのであれば、もともと月給が35万円だった人が役職手当をつけて40万円になりましたではなく、45万円、50万円になりましたというぐらいにしていかなければ、「やろうかな」という人は出てこないのではないかと思います。

「あの人たちみたいになりたくない」という声

制度が整っている会社でも、「それでもなりたくない」という人がいます。

その理由としてよく聞くのが、「今の管理職を見た時に、あの人たちみたいになりたくない」という声です。

しんどそう、あんな風になるぐらいなら今の給料でいい—そう思われてしまっている。

これを変えるためには、今の管理職の人たちが「楽しいな」と思って働いている姿を見せることが大事なのかなと思っています。

管理職の面白さを伝える場を作る

管理職の仕事は、ひとつひとつを見るとしんどいことがたくさんあります。一方で、やりがいも必ずあります。

ただ、そのやりがいの部分をあまり言わない人が多い気がしています。

これは結婚と似ているなと思っています。

結婚について、未婚の人に「意外と大変だよ」と言いがちですが、実は「結婚してよかったな」と思っている部分の方が大きかったりする。でもそのよい部分についてはあまり言わない方が多い。

管理職も同じで、あえて言う場所を作ってあげないと、良いところは伝わらないのではないかと思います。

例えば、管理職になったからこそできた仕事や、管理職になったから味わえたことを言語化する場を設ける。

それを部下に伝える機会を会社が作る。

斜めの関係の人たちと話す機会を作ったり、部長が何をしているのかを聞く機会を設ける等も良いと思います。

直接的ではないけれど、将来の管理職候補に「管理職の仕事って面白そうだな」と知ってもらう機会を意図して作るというのは、結構大事なことだと考えています。

それでもなりたくない人にはどうするか

それでもやりたくない人がいる場合、個人的にはですが、やりたくない人に頑張ってやってもらっても難しいと思っています。

面白さを知らなかったからやりたくなかったというケースはあるかもしれない。

でも、どういうことをやるのかをわかった上で「やりたくありません」と言っている人は、食べず嫌いではなく食べて嫌だと言っている人です。

無理にさせる必要はないのかなと。

その場合は、制度で対応するのがいいと思っています。

例えば、一昔前の一般職・総合職のような考え方を復活させる。

「バリバリやっていきます」という働き方と、「ワークライフバランスを大事にしていきます」という働き方を選べるようにする。

入社時から分けるのではなく、5〜6年目ぐらいで選ばせるのがいいのではないかと思っています。

また、複線型人事を取っている会社も多いですが、管理職とスペシャリストの給与差があまりないケースも見られます。

やりたくない人が多いのであれば、この差をもう少し広げることも検討した方がいいのかもしれません。

仕事が面白いと感じる経験をいかに作るか

以前、女性管理職の調査をしたことがあります。

管理職になった女性たちにインタビューをして、共通項をまとめたところ、4つのポイントが出てきました。

①最初からバリバリ仕事しようと思って入ったわけではない

②中堅クラスの頃に「仕事が面白い」と感じる経験をしている

③良い上司(=仕事が面白いと思う経験を与えてくれた上司)と出会っている

④同じ境遇の仲間(ピア)がいた

特に2番目と3番目はリンクしていて、新しいことを自分で考えて企画して実現する仕事を任された経験が、仕事を面白くしていました。

そして、その経験を与えてくれたのが「良い上司」だったという話です。

この話は、今の「管理職になりたくない問題」にもつながると思っています。男性でも女性でも、仕事が面白いと感じる経験をいかに上司が提供できるかが大事なのではないかとこの結果から推察できます。

最後に

管理職になりたくない人が増えている問題に対して、「最近の若手は価値観が違うから」と片付けてしまうのは、ちょっともったいないなと思っています。

まずは制度をきちんと整えること。

これは動機付け要因というより衛生要因、最低限の環境整備の話です。

その上で、仕事が面白いと思える経験を意図して付与していく。

この両輪で考えていくことが大事なのではないかと思います。

世代のせいにする前に、会社として何ができるかを考えてみる。そんなきっかけになれば嬉しいです。

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この記事を作成・監修したライター

株式会社カタドリ 代表取締役
増田 清香

南山大学大学院経営学専攻修了。専門は経営行動科学。
約10年にわたり東京・名古屋にて次世代リーダーの育成、社内コミュニケーションデザインの構築、昇格制度の構築などに携わる。その後ベトナムで研修サービスの立ち上げ、シンガポールで人事コンサルティング会社の立ち上げを経験。専門は人材育成、組織開発。
10年間で100社以上の経営課題、人材育成上の課題と向き合う。
コンサルタントとして思考でお客様と向き合うだけでなく、自らもビジネスを作る経験、周囲を巻き込む経験を常に自分に課し続けている。机上の空論ではない、制約条件の中で最大限の効果を発揮できる方法を共に生み出すことを信念とする。

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